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失敗だったダニ対策1『ゼオライト』
この「ダニピタクリーン」はカブトムシやクワガタ等のペットを想定している商品で、昆虫マットに混ぜるだけでダニを忌避し、消臭効果や汚れを吸着する効果があると書かれています。
原材料は主にゼオライトという多孔質の鉱物で、粒状になって入っています。
ゼオライトの細孔は水分子と大きさが近いため水分の吸着力が非常に大きく、湿気を吸収したり放出する調湿機能があるとされています。
そのため収納の湿気取りとして使われたり、農業では根腐れを防止したり保水力を高めるために土壌に混ぜられます。
機能は炭と似ていますが、炭よりも非常に早く水分を吸着します。
要は、調湿機能によって土を乾燥させることでダニ忌避効果を期待する商品だと思われます。
失敗の理由①効果は半永久的ではない。
雨の日もあればカラカラの晴れの日もある農業のシーンでは土の中のゼオライトは半永久的に正しく機能するかもしれませんが、飼育ケースは違います。
ダンゴムシの飼育ケースはコバエ対策のため隙間を無くすことが絶対です。
そのため、ケース内はあまり通気性が良いとは言えない状態。
土の中の余分な湿度を吸着しても、放出する機会が無ければそれ以上は吸着できませんし水分を保持し続け逆効果となってしまうことがあります。
そのためか、ダニピタクリーンの商品説明には「1〜2週間を目安に20g追加」と書かれていますが、小さな生体がいっぱいいるダンゴムシ飼育ケース内でしょっちゅうゼオライトを追加するのは無理があります。
失敗の理由②土を酸性寄りにする。
ゼオライト自体がpH5.5〜7.5ほどの弱酸性であり、さらに細孔がアルカリイオンを吸着するため土を酸性に傾けます。
オカダンゴムシには酸性の土は向きません。
オカダンゴムシはヨーロッパ原産の外来種であり、地中海沿岸の出身です。
地中海沿岸の土壌は主にテラロッサと呼ばれる石灰岩の風化によりできた土です。
テラロッサはあまり水分を含まず、石灰岩から炭酸カルシウムが溶け出しアルカリ性に傾いていることが特徴です。
オカダンゴムシが日本の市街地によく生息しているのはテラロッサに似た環境を探しているためとも言われています。
失敗の理由③粉末が擬気管の水分を奪う?
後から知ったことなのですが、ゼオライトの粉末にはダニを駆除する効果があり、粉末を吸い込んだダニの呼吸器を塞いだり、水分の吸着力を活かして粉末に触れたダニの体を乾燥させて駆除するという効果もあるそうです。
ダニの体は80%が水分のため乾燥に弱いです。
粉末でダニが殺せるなら、同じく乾燥に弱いダンゴムシも危険な可能性があります・・・。
ダンゴムシの体は背中は堅く乾燥していますが、スポンジ状になっているお腹の擬気管は常に軽く湿っていなければならないデリケートな器官。
擬気管の乾燥は厳禁です。
粉末がダンゴムシの擬気管に触れたら水分を奪って呼吸を阻害する可能性があります。
また、もしもダンゴムシがゼオライトの粉末を食べてしまったら消化管内の水分を奪いお腹を悪くすることも考えられます。
失敗の理由④入れたらダンゴムシが死んだ。
ゼオライトをケースの土に混ぜた後、立て続けにダンゴムシの成体が2匹死にました。
もしゼオライトが原因だとすれば、前述の通りゼオライトの粉末が良くなかったのかもしれません。
ダンゴムシの死と関係があるとははっきりは言えませんが、私が今後使うことは無いでしょう。
失敗だったダニ対策2『ヒノキチップ』
カブトムシやクワガタのダニ対策にヒノキマットを用いると知って、これならダンゴムシの負担にはならないんじゃ無いかなーと思って購入しましたが・・・
失敗の理由 ダンゴムシもヒノキの匂いが嫌い?
なぜヒノキがダニ対策になるのかというと、ヒノキには「テルペン」「ヒノキチオール」などの香り成分が含まれています。
これを多くの虫が嫌い、特にダニに強い効果を発揮します。
それってダンゴムシも嫌いなんじゃない・・・?
カブト・クワガタには良いの?
ネットで検索すると、そもそもカブトムシとクワガタも針葉樹は好まず、ヒノキマットは弱った個体には使わない方が良いのだとか。
それなら体の小さなダンゴムシにはもっと負担が大きいかもしれません。
また、ヒノキの香り成分は2週間ほどで揮発して消えるため効果の無くなったヒノキを取り除いたり追加する必要があります。
- ◯ダンゴムシが嫌う臭い
- ・ハーブ全般
- ・ローズマリー
- ・酢・木酢液
- ・コーヒー
- ・ニラ
以前ふざけてダンゴムシの近くにバニラを置いたら、恐る恐る触角でチョンとタッチした瞬間『くさっ!』と言いながら逃げていきました。
これとこれがダメ、というよりは刺激臭全般が嫌いだと覚えておけば良いと思います。
湿度を見直す
ダンゴムシもダニも同じ土壌動物の仲間で土の中の同居人。
好きな環境も嫌うものも似ています。
ダンゴムシを歓迎してダニを遠ざける環境を作ることは難しいです。
が、ダンゴムシとダニを分ける僅かな差は湿度。
ダニもダンゴムシも高い湿度を好みますが、ダニは湿度60%以上を好み、湿度65%以上で無ければ繁殖できないと言われています。
ダンゴムシに負担がかからない程度に湿度60%以下を心がければ、ダニ対策になりそうです。
床材でダニ対策
土の中の湿度を上げすぎないためには、水捌けをよくすること。
ベースは腐葉土として、ちぎった枯葉やサンゴ砂を混ぜると水捌けが良くなるでしょう。
腐葉土だけの分厚い層ができないようにしましょう。(腐葉土はミルフィーユのように合間に薄く入れると良いと思います。)
腐葉土は市販品でも一度殺菌処理した方が安心です。
冷凍・天日干し・レンジでチンするなどの殺菌方法があります。
◎通気性・排水性向上に『枯葉』
硬めの枯葉をちぎって混ぜると見た目にも分かりやすく土の中に隙間を作ります。
硬くてカビにくい昆虫飼育用の市販の枯葉を使うのがオススメですが、お金がかかるので公園で硬めの枯葉を拾って天日干しすると良いでしょう。
◎通気性・排水性向上に『サンゴ砂』
サンゴ砂は水捌けを良くするだけでなく、土のpHをオカダンゴムシの好むアルカリ性に傾け、炭酸カルシウムなので餌になり一石三鳥なのでオススメです。
- 私は様々な虫に対応できる環境であるようにと腐葉土を床材に使っていますが、ダンゴムシだけを飼いたい場合は全て無機質の土*2だけで床材を構成しても飼育可能で、それに関して研究された方がいらっしゃるようです。
- 「ソイル飼育」で検索してご覧ください。
- 無機質の土の方がダニはさらに繁殖しづらいと思います。
空気の調湿でダニ対策
ケース内に湿度の差(湿度勾配)を作ってあげれば、一部が多湿になりダニが湧いてもダンゴムシが低湿度の場所に避難することができます。
◎ケース内の湿度に差を作る方法
①ケース内の土に高低差を作る。
土は斜面にして敷くと良いです。
基本的には高い場所ほど湿度が低く、低い場所ほど湿度が高いです。
蒸れている時ダンゴムシは上の方に登ってくる気がするので、高低差があれば蒸れにも気付きやすいと思います。
②樹皮などを立てかけて置く。
蒸れている時や土の環境が悪い時にてっぺん避難して来られます。
③水苔は一箇所にまとめて置く。
④調湿機能のある塊を置く。
調湿機能のある素材を塊で一つ二つ置くと良いでしょう。
調湿機能のある素材でおすすめなのは「稚内珪藻頁岩(わっかないけいそうけつがん)」です。*3
◎調湿に『稚内珪藻頁岩』
稚内産の珪藻頁岩は他の珪藻土に比べて調湿機能が段違いで高いです。
稚内珪藻頁岩は湿度60%前後に調湿するようです。
ダニは湿度60%以上を好むのでダニ対策になるかは微妙ですが、ダンゴムシも湿度40%を切ると死んでしまうので少なくともダンゴムシに安全な素材と言えます。
また、悪臭の原因となるアンモニアの吸着力が非常に高いようで、ダニ対策にならずとも消臭グッズとして置く価値はあるかと思います。
稚内珪藻で検索すると、稚内珪藻石を見つけたので今回購入してみました。
使用期限は約半年〜1年と書かれていますが、これは脱臭効果の持続期間のことであり、調湿機能は半永久的です。
たくさん置いたら乾燥しすぎてしまう、という物では無いため何個置いても大丈夫です。
現在の飼育環境はダニが大量発生している訳ではないので稚内珪藻石のダニへの効果の検証はできません。
が、設置して1ヶ月が経ち、少なくともダンゴムシには害が無いことは分かりました。
◎隠れ家に『竹炭』
竹炭の調湿効果は気休め程度ですが、安価で、無機質で虫が湧きづらく、穏やかな吸湿効果があり下が蒸れにくく、軽量で無害な素材です。
ダンゴムシの隠れ家として良いのではないかと思います。
◎毎日のケア
・加水する際にはいつも水苔にだけ霧吹きをするようにして、土に直接加水しないようにすれば土の中がベチャベチャにならず少しダニ対策になると思います。
◎飼育環境のリセット
どんなに最高の飼育環境を作ったとしても、いずれは土がヘタって状態が悪くなってきます。
あまり頻繁に入れ替えるのもダンゴムシのストレスになりますが、土の入れ替えは3〜4ヶ月に1回はした方が良いと思います。
ダニ対策について、できることを書きました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
【参考記事】
東京寿園『ゼオライトって園芸向け?特徴やオススメの使い方を徹底解説』
https://tokyo-kotobukien.jp/blogs/magazine/15908
株式会社福地建装『その他の問題|床下に敷く調湿材について悩んでいます。』
https://www.fas-21.com/npo/article.html?id=42478
ホームメイト『ダニ対策』
https://www.homemate.co.jp/useful/ondo_situdo/environment04.html
株式会社エム・イー・ティー『データ資料』
https://www.met-inc.co.jp/data.html
DAIKYU『ココヤシ床下調湿材の特徴と性能効果』
http://www.daikyucarbon.com/su_kouka.html
鈴木産業株式会社『「豊シリカ」稚内珪藻頁岩粉砕物製品ー調湿・消臭材機能素材についてー』
http://www.wakkanai-diatom-shale.co.jp/silica-v2.pdf
*1:日本の森林に生息する在来種のコシビロダンゴムシはまた違って、日本の森林に広く分布する褐色森林土は酸性寄りのため酸性を好む可能性が高いです。
pHの好みもダンゴムシの種類によって違うのですね。
*2:ちなみに、無機質の土では赤玉土や鹿沼土は多肉植物の土としてよく使われ水捌けが良いのですが、どちらもpHが酸性寄りです。もしオカダンゴムシに使いたい場合は他にアルカリ性の物を混ぜてしっかりと調整する必要がありますのでお気をつけください。
*3:シリカゲル等は除いて天然素材に絞っています。調べたところ活性炭も調湿機能が高いですが、湿度50%前後と少し低めの湿度で調湿するため除きました。また、ゼオライトは調湿するというよりはただ水分の吸着力があるだけのようで放湿機能はほとんど無いようです。これは資料によって少しずつ違うためはっきりとは言えません。